ビットレートとは、動画1秒間あたりに転送できるデータ量のことです。
ビットレートの設定値が低すぎると画質は劣化し、逆に高すぎるとファイルサイズは大きくなってしまいます。
本記事ではこのような課題についての解決策を紹介するとともに、最適なビットレートを設定するためのポイントを解説します。
ビットレートに関する基礎知識からわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ビットレートとは
ビットレートとは、動画1秒間あたりに転送できるデータ量のことをいいます。
なお単位はbps (bit per second)で表記されます。
例えば1bpsの場合、1秒間に1ビットのデータを転送できるという意味です。
ビットレートの値が高いほど、たくさんのデータを転送できるので、高画質・高音質な動画を作成できますよ。
また動画のビットレートは「映像ビットレート」と「音声ビットレート」の2種類に分けられます。
2つのビットレートを合算した値は「オーバルビットレート」と呼ばれ、動画ファイルの総ビットレートを指します。
まずは基礎知識として、2つのビットレートの特徴を押さえましょう。
音声ビットレート
音声ビットレートとは、動画1秒間あたりに転送できる音声のデータ量を表す値です。
数値が高いほど、高音質な動画を作成できます。
音声ビットレートの値は映像ビットレートと比較すると、小さくなることが一般的です。
そのため音質を重視しても、動画ファイルに大きな影響を及ぼすことはありません。
ちなみに値の目安は、MP3やAAC、WMAなどの非可逆コーデックの動画で96kbps~128kbps。
音質重視の場合は192~320kbpsです。
映像ビットレート
映像ビットレートは、動画1秒間あたりに転送できる映像のデータ量を表します。
数値が高いほど、高画質な動画を作成できます。
映像ビットレートの値の目安は、500kps~70Mbps。
映像の画質や動きの多さ、演出などによって適切な値は異なります。
フレームレート・解像度・ビットレートの関係性で画質が決まる
動画の画質は解像度とフレームレート、ビットレートの3つの関係性で決まります。
解像度とは動画の画素数のことを指し、フレームレートは映像1秒間に流れる画像の数を指します。
高解像度・高フレームレートに設定すれば、綺麗でスムーズな動きのある動画に仕上げられますよ。
しかしファイルのデータ量は膨大になり、重たい動画になるので注意してください。
せっかく高画質な動画でも、転送できるデータ量を確保できなければ品質は損なわれてしまいます。
そのためビットレートも、高く設定する必要があります。
高画質な動画を作成するには解像度やフレームレートだけでなく、ビットレートの設定も重要であることを念頭に入れておきましょう。
ビットレート設定の目安は?
ビットレートの適正値は一定ではありません。
動画の動きの多さや解像度、フレームレートや書き出しするパソコンのスペックによって異なります。
ここでは目安のひとつとして、YouTubeの推奨ビットレートを紹介します。
YouTubeの推奨ビットレート
YouTubeにはSDR動画とHDR動画、音声のそれぞれに推奨されているビットレートの値があります。
下記にそれぞれの推奨値をまとめていますので、ぜひYouTube動画を編集する際に参考にしてください。
参考:YouTubeヘルプ|YouTube にアップロードする動画におすすめのエンコード設定
SDR動画で推奨されている映像ビットレート
SDR動画は、主にテレビや映画などで使用されています。
SDR動画のYouTube推奨の映像ビットレートは、下記のとおりです。
タイプ | 標準フレームレート(24、25、30) | 高フレームレート(48、50、60) |
8K | 80~160Mbps | 120~240Mbps |
2160p(4K) | 35~45Mbps | 53~68Mbps |
1440p(2K) | 16Mbps | 24Mbps |
1080p | 8Mbps | 12Mbps |
720p | 5Mbps | 7.5Mbps |
480p | 2.5Mbps | 4Mbps |
360p | 1Mbps | 1.5Mbps |
HDR動画で推奨されている映像ビットレート
HDR動画は明暗表現の幅が広く、SDR動画よりも高ビットレートに設定する必要があります。
HDR動画のYouTube推奨の映像ビットレートは、下記のとおりです。
タイプ | 標準フレームレート(24、25、30) | 高フレームレート(48、50、60) |
8K | 100~200Mbps | 150~300Mbps |
2160p(4K) | 44~56Mbps | 66~85Mbps |
1440p(2K) | 20Mbps | 30Mbps |
1080p | 10Mbps | 15Mbps |
720p | 6.5Mbps | 9.5Mbps |
480p | サポート対象外 | サポート対象外 |
360p | サポート対象外 | サポート対象外 |
アップロードする動画の推奨音声ビットレート
YouTube推奨の音声ビットレートは、下記のとおりです。
タイプ | 音声ビットレート |
モノラル | 128kbps |
ステレオ | 384kbps |
5.1 | 512kbps |
動画のビットレートは高ければ良いわけではない
ここまでの話を聞くと「動画のビットレートは出来るだけ、高く設定しておけばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。
ここからは高ビットレート動画のメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
高ビットレート動画のメリット
ビットレートを高く設定することで、高画質・高音質の動画を作成できます。
なぜなら高ビットレートの動画は、より多くのデータを転送できるからです。
例えば高画質に撮影した映像の場合でも、品質を損なわずに動画として形にできます。
また大画面で再生しても、画像が粗くなることはありませんよ。
高ビットレート動画のデメリット
高ビットレート動画はデータ量が多いので、動画ファイルが重くなります。
そのためパソコンのスペックやインターネット環境によっては、下記のようなデメリットが生じやすいです。
- 再生やダウンロードに時間がかかる
- 映像がカクつく
- 動画を保存するサーバーのストレージを圧迫する
- 編集ソフトの動きが悪くなる
また高ビットレートに設定したからといって、必ずしも高画質になるわけではありません。
例えば撮影時のビットレートを上回るbpsに変換しても画質に好影響はなく、動画のデータ量が増えるだけです。
動画の画質は、撮影の段階でしっかりと決めておくのが良いですよ。
適切なビットレートの確認方法・設定ポイント
適切なビットレートを設定をするためにも、まずはMac・Windowsのビットレートの確認方法を押さえましょう。
【Mac】
ビットレートを確認したい動画をQuickTimeで開く→[ウィンドウ]→[ムービーのインスペクタを表示]→[データレート]を確認する。
【Windows】
ビットレートを確認したい動画ファイルを右クリック→[プロパティ]→[詳細]→ビデオデータ速度(映像ビットレート)、オーディオデータ速度(音声ビットレート)、総ビットレート(オーバルビットレート)を確認する。
ここからは適切なビットレートを設定するためのポイントを解説します。
必要以上に解像度を上げない
適切なビットレートに設定するには、動画の解像度を必要以上の値に設定しないことが大切です。
なぜなら高解像度であるほど、ビットレートも高くする必要があるからです。
動画の高画質化が進む一方で、フルHD以下の画質で視聴するユーザーは少なくありません。
視聴者にとって2Kや4Kなどの画質は、オーバースペックなうえ必要以上に通信量がかかります。
低画質でも視聴に差し支えない場合はあえて解像度を抑え、ストレスなく視聴できる動画に仕上げるのもひとつの手ですよ。
動きに対してのフレームレート設定を見直す
動きの多い動画や繊細な動きのある動画は、高フレームレートでなければ映像がカクつきます。
滑らかな動きを表現するためにも、フレームレートは30fps以上に設定しましょう。
またフレームレートを高く設定する際は、合わせてビットレートも高く設定してくださいね。
一方で動きの少ない動画であれば、高フレームレートの恩恵は少なくなります。
低フレームレート・低ビットレートに設定することで、動画のデータ容量を抑え、サクサク再生できるようにするのが良いでしょう。
コーデックの種類を変える
適切なビットレートを設定する方法として、コーデックの種類を変えてみるのも一つの手です。
コーデックとはファイルのデータ形式を圧縮・変換し、再生のために復元するソフトウェアのことを言います。
コーデックの種類を変えることで、低ビットレートでも高画質の動画として保存できる可能性がありますよ。
コーデックの種類は、エンコードする際に設定できます。
ちなみに動画配信プラットフォームによって、推奨のコーデックは異なるので注意してくださいね。
推奨の範囲内でより高性能のコーデックに切り替えて、エンコードをしましょう。
正しいビットレートの知識を身につけよう!
ビットレートは、動画制作において欠かせないポイントの1つです。
ビットレートを調整することで、ファイルサイズを削減しながら、高画質な動画に仕上げられますよ。
ただしビットレートの適切な値は、動画の用途や配信先のプラットフォームによって異なるので注意してください。
決して難しい設定ではないので、ぜひ本記事を参考にお試しくださいね。
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